「吉田(麻也)はいいセンターバックだ」
ヴィッセル神戸監督のフアン・マヌエル(ファンマ)・リージョは、独自の所見を述べている。11月の日本対キルギス戦の翌日だった。
「(吉田は)顔つきがいい。周りのチームメイトに、戦いの真剣さを伝えることができている。ここに俺はいるぞ、心配するな、と。後ろから安心を伝えられる。一家の父親のように、ね」
リージョはそう言って、高い評価を与えた。スペインの名将が見た、日本サッカーと日本代表の実状とは――。
「日本代表は、すでにW杯でも十分に存在感を示している。今の日本は条件次第で、どこの代表でも破る力を持っているだろう。たとえそれがドイツ、イタリア、スペインのような強豪国が相手でもね。もし日本がいい状態で、相手の調子が悪かったら……必ず勝機はあるはずだ」
リージョはそう言って、日本代表のポテンシャルの高さに言及している。一方で、戦いの進め方に関しては苦言も呈した。
「ロシアW杯の(決勝トーナメント1回戦)ベルギー戦では、明らかに悪い試合マネジメントがあった。それは日本人の性格なのかもしれないが、ペナルティエリア内では、生きるか死ぬかの勝負のはずなのに、それが足りなかった」
彼はさらに言葉を継いだ。
「海外で活躍する日本人は、中盤の選手が多い。スキルが高く、優雅なプレーができる。たとえば、ベティスの乾(貴士)はそうだろう。キヨ(清武弘嗣)も、セビージャ(2016-17シーズンに所属し、当時、リージョはヘッドコーチだった)では万能だった。技術に優れ、球際を戦えたし、能力の高さを示していた。活躍できなかったのは、諸事情があったからだ。
一方で、センターバック、センターフォワードなど、エリア内で戦う日本人選手がヨーロッパで活躍するケースは少ない。日本人のキャラクターなのだろうが、少しおとなしすぎる。穏やかで、正直であることは悪いことではないが、エリア内の選手はいつも飢えてないといけない」
リージョは、日本人の潜在能力を信じているからこそ、そう厳しく指摘するのだろう。伸びるポイントを的確に示した。
「たとえば日本人選手は、もっとボールを持ち運んでいいと思う。ドリブルで相手を抜いていくというのではない。ボールを持ち運び、相手を誘い出すというのか。ボールを動かして、相手を引きつけ、(敵の)ポジションをずらし、味方をフリーにする。そこでコンビネーションが生まれる。日本人はそれをあまりしない。エリア内に入っていく、仕掛けのドリブルは好きだけどね」
日本サッカーは、世界と比肩するところまで来ているのだろう。ただ、あと一歩というのは意外に遠い。
「日本サッカーのレベルは、間違いなく高いよ。規律や技術は問題ない。あとは、そこから自由にプレーし、プレーに閃きを与えられるか。それは質の高いトレーニングを続けることによって出るようになるかもしれない。
実際、神戸の選手たちは確実に成長を示している。たとえばユウタ(郷家友太)は、(ディフェンスで相手の体とボールの間に)足を入れられるようになったし、ヨシキ(松下佳貴)はターンが速くて、尻や腿は筋肉がつき、そのフィジカルの強さを生かせるようになってきた」
リージョはそう言って笑顔を見せ、日本サッカーの肯定的な未来を展望した。そして、自らの意志でピッチを闊歩し、自由にプレーを創り出せるようになるほどに覚醒する条件について、このように語っている。
「90分間の戦いでは、『しょうがない』という考え方を捨てないといけない。失点したら心を痛める。それが強さを生み出す。アンドレス(・イニエスタ)は穏やかな性格だから、『勝てなくてもしょうがない』ように見えるかもしれない。でも、そんなことは決してないんだよ。負けたとき、彼は”恥”を感じている。誇りを傷つけられているのさ。ふざけるな、とフラストレーションを表現しないだけでね」
リージョは、神戸の選手の熱を引き出すことで、短期間でチームを変革させた。チームカラーが強く出るようになった。簡単にボールを失わなくなったし、容易に敵を侵入させず、得点の形を生み出しつつある。
いつか、リージョが日本代表を率いることになったら――。それは現時点では、妄想でしかない。しかし無冠の神戸を変革することができたとき、それはにわかに現実味を帯びるはずだ。
12/31(月) 6:40配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181231-00010000-sportiva-socc
ヴィッセル神戸監督のフアン・マヌエル(ファンマ)・リージョは、独自の所見を述べている。11月の日本対キルギス戦の翌日だった。
「(吉田は)顔つきがいい。周りのチームメイトに、戦いの真剣さを伝えることができている。ここに俺はいるぞ、心配するな、と。後ろから安心を伝えられる。一家の父親のように、ね」
リージョはそう言って、高い評価を与えた。スペインの名将が見た、日本サッカーと日本代表の実状とは――。
「日本代表は、すでにW杯でも十分に存在感を示している。今の日本は条件次第で、どこの代表でも破る力を持っているだろう。たとえそれがドイツ、イタリア、スペインのような強豪国が相手でもね。もし日本がいい状態で、相手の調子が悪かったら……必ず勝機はあるはずだ」
リージョはそう言って、日本代表のポテンシャルの高さに言及している。一方で、戦いの進め方に関しては苦言も呈した。
「ロシアW杯の(決勝トーナメント1回戦)ベルギー戦では、明らかに悪い試合マネジメントがあった。それは日本人の性格なのかもしれないが、ペナルティエリア内では、生きるか死ぬかの勝負のはずなのに、それが足りなかった」
彼はさらに言葉を継いだ。
「海外で活躍する日本人は、中盤の選手が多い。スキルが高く、優雅なプレーができる。たとえば、ベティスの乾(貴士)はそうだろう。キヨ(清武弘嗣)も、セビージャ(2016-17シーズンに所属し、当時、リージョはヘッドコーチだった)では万能だった。技術に優れ、球際を戦えたし、能力の高さを示していた。活躍できなかったのは、諸事情があったからだ。
一方で、センターバック、センターフォワードなど、エリア内で戦う日本人選手がヨーロッパで活躍するケースは少ない。日本人のキャラクターなのだろうが、少しおとなしすぎる。穏やかで、正直であることは悪いことではないが、エリア内の選手はいつも飢えてないといけない」
リージョは、日本人の潜在能力を信じているからこそ、そう厳しく指摘するのだろう。伸びるポイントを的確に示した。
「たとえば日本人選手は、もっとボールを持ち運んでいいと思う。ドリブルで相手を抜いていくというのではない。ボールを持ち運び、相手を誘い出すというのか。ボールを動かして、相手を引きつけ、(敵の)ポジションをずらし、味方をフリーにする。そこでコンビネーションが生まれる。日本人はそれをあまりしない。エリア内に入っていく、仕掛けのドリブルは好きだけどね」
日本サッカーは、世界と比肩するところまで来ているのだろう。ただ、あと一歩というのは意外に遠い。
「日本サッカーのレベルは、間違いなく高いよ。規律や技術は問題ない。あとは、そこから自由にプレーし、プレーに閃きを与えられるか。それは質の高いトレーニングを続けることによって出るようになるかもしれない。
実際、神戸の選手たちは確実に成長を示している。たとえばユウタ(郷家友太)は、(ディフェンスで相手の体とボールの間に)足を入れられるようになったし、ヨシキ(松下佳貴)はターンが速くて、尻や腿は筋肉がつき、そのフィジカルの強さを生かせるようになってきた」
リージョはそう言って笑顔を見せ、日本サッカーの肯定的な未来を展望した。そして、自らの意志でピッチを闊歩し、自由にプレーを創り出せるようになるほどに覚醒する条件について、このように語っている。
「90分間の戦いでは、『しょうがない』という考え方を捨てないといけない。失点したら心を痛める。それが強さを生み出す。アンドレス(・イニエスタ)は穏やかな性格だから、『勝てなくてもしょうがない』ように見えるかもしれない。でも、そんなことは決してないんだよ。負けたとき、彼は”恥”を感じている。誇りを傷つけられているのさ。ふざけるな、とフラストレーションを表現しないだけでね」
リージョは、神戸の選手の熱を引き出すことで、短期間でチームを変革させた。チームカラーが強く出るようになった。簡単にボールを失わなくなったし、容易に敵を侵入させず、得点の形を生み出しつつある。
いつか、リージョが日本代表を率いることになったら――。それは現時点では、妄想でしかない。しかし無冠の神戸を変革することができたとき、それはにわかに現実味を帯びるはずだ。
12/31(月) 6:40配信
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